The Precedential Opinion Panel (POP)、審査中に考慮された先行技術およびそれに対する意見に関し、2つの特許審判部(PTAB)決定を先例に指定し、1つの決定を有益なものと指定 – POP Designates Two PTAB Decisions as Precedential, one Informative, Addressing Prior Art and Arguments Previously Considered During Prosecution

2020年3月26日

Justin L. Krieger (和訳:穐場 仁)

2020年3月25日、the Precedential Opinion Panel (POP)は、2つの特許審判部(PTAB)決定を先例(precedential)と指定し、1つを有益な(informative)決定として指定した。同決定は、35 U.S.C. § 314 又は § 325(d)に基づき審理を開始(institute)するか否か決定する特許審判部(PTAB)の裁量について、申立人が、審査中に審査官によって既に検討された先行技術と同一又は実質的に同一の先行技術あるいは議論を提起した場合に関するものである。

先例とされた1つめの決定、Advanced Bionics, LLC v. Med-El Elektromedizinische Geräte GmBH, IPR2019-01469, Paper 6 (Feb. 13, 2020)では、申立人は対象特許の審査中に考慮されなかった先行技術を提起していた。特許審判部(PTAB)は、同一又は実質的に同一の先行技術が提起されたかどうか、及び申立人が「特許商標庁による重大な誤り」を特定したかどうかを決定する際に、いわゆるBecton, Dickinson factorsを適用した。Becton, Dickinson & Co. v. B. Braun Melsungen AG, IPR2017-01586, Paper 8 (Dec. 15, 2017) (第1段落、III.C.5 に関する先例)。先行技術を分析した後、特許審判部(PTAB)は、申立人が引用した新たな先行技術は審査官が審査中に検討した先行技術文献と実質的に同じ態様で提起されていたと結論した。申立人が、審査官が既に考慮した先行技術の不備を是正する方法で新しい先行技術を提起しなかったことを考慮し、特許審判部(PTAB)は、申立人が特許庁による重大な誤りを提示しなかったと結論づけた。審理の開始を否定する際、特許審判部(PTAB)は、申立人が、例えば、「審査官が関連する先行技術における特定の開示(teachings)を誤解し又は見落とし、それにより特許庁の誤りが対象クレームの特許性にとって重要であったと示すことにより」、審査官の先行技術の評価の誤りを証明しなかったことを更に強調した。

Advanced Bionicsとは対照的に、先例とされた2つめの決定Oticon Medical AB v. Cochlear Ltd., IPR2019-00975, Paper 15 (Oct. 16, 2019) では、特許審判部(PTAB)は、35 U.S.C. §325(d)に基づく裁量権の行使をせず、審理を開始することを決定した。その審理では、申立人は1つの新しい先行技術文献と組み合わせて、以前に考慮された引用文献を提示した。Becton, Dickinson factorsを再び適用すると、特許審判部(PTAB)は、新しい先行技術文献が、審査中に考慮された先行技術とは異なる構造的および機能的特徴について言及されていることに着目し、反対の結論に達した。加えて、申立人は、新しい先行技術文献に記載された効果に基づいて、新しい動機付けを主張していた。したがって、新たな先行技術文献は、審査中に検討された先行技術文献に対し重複的(cumulative)なものではないと結論した上で、特許審判部(PTAB)はかかる新たな先行技術が考慮されていなかったという点で審査に誤りがあったと判断した

先例としても指定されたOticon Medical決定の後半部分において、特許審判部(PTAB)は、申立人が特許侵害に関する訴状送達から1年近く申立を待った場合に35 U.S.C. § 314(a)の裁量権を行使し審理開始を拒絶すべきか否かについても議論した。特許権者は、1年の期間の終わりまで申立てを待つ間に、申立人がかかる申立てのロードマップとして特許権者の訴訟対応を不当に利用したと主張した。特許審判部(PTAB)は、先例となるGeneral Plasticsの決定で議論された後続の申立てに関する懸念は、訴訟が同時継続する場合の申立てに関しては直接取り上げていなかったとした。Gen. Plastic Indus. Co. v. Canon Kabushiki Kaisha, IPR2016-00791, Paper 15 at 31 (PTAB Sept. 11, 2019). 特許審判部(PTAB)は、審理を開始することを決定し、申立人は訴訟における特許権者の対応を見ることによって利益を得たかもしれないが、特許審判部(PTAB)の手続は有効性に関する地方裁判所の検討とは直接的に重複しないと結論した。

有益的(informative)とされた決定Puma North America Inc. v. Nike, Inc., IPR2019-01042, Paper 10 (Oct. 31, 2019)においては、Advanced Bionicsと同様に、特許審判部(PTAB)はその裁量を行使し、かつ、Becton, Dickinson factorsを適用し、申立人が審査中に考慮されたのと全く同じ先行技術を引用した申立の審理開始を拒絶した。特許審判部(PTAB)は、審査官の結論に単に同意できないことは重大な誤り(material error)とはならないことを示した。審査官が先行技術文献を組み合わせる動機を誤解したという申立人の主張に対し、特許審判部(PTAB)は、先行技術文献が類似の分野にあることを単に示すことは組み合わせる動機を確立しないことを指摘した。申立人は、当業者がクレームされた主題を創作し得たであろう肯定的な理由を提示しなかったため特許審判部(PTAB)は申立人が重大な誤りを特定することができなかったと結論した。

実務のヒント:

審査中に既に検討されていた、又は審査中に既に考慮された先行技術と同様の態様で先行技術を提起する申立人は、審査中に審査官が誤認又は見落としたとする事実上の問題(factual issue)を明確に特定しなければならない。加えて、可能な限り、申立人は、審査官がこれまで検討していなかった引例を組み合わせるための新たな動機づけ又は根拠を強調すべきである。

特許権者は、引用されている先行技術が、審査中に考慮された先行技術と同一又は実質的に同一であるかどうかを確認するために、提出された申立を慎重に検討すべきである。たとえ申立人が新しい先行技術を引用していたとしても、特許権者はその先行技術がどのように用いられているかを慎重に分析すべきである。当該先行技術が、審査官によって以前に検討された先行技術と同様の態様で用いられている場合、特許権者はBecton, Dickinson factorsに基づく検討をPreliminary Responseに盛り込むべきであり、35 U.S.C. § 314/324に基づいて特許審判部(PTAB)はその裁量を行使し審理開始を拒絶すべきと主張すべきである。

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