Alerts アップデート – 新ガイドラインが所定の日本製品をインフレ抑制法EV税額控除適用と認める – Update – New Guidance Confirms that Certain Japanese Products are Eligible for Inflation Reduction Act EV Tax Credits
Written by Thomas G. Allen, Hitoshi Akiba, Kurtis G. Anderson and Stephen M. Anstey (和訳:穐場 仁)
米国財務省(U.S. Department of Treasury: Treasury)および米国内国歳入庁(Internal Revenue Service: IRS)が提案した新ガイドラインは、所定の日本製品が現在、米国のインフレ抑制法(IRA)の有利な第30D条クリーン・ビークル・クレジット(Clean Vehicle Credit)の一部に適格であることを認めた。
前回のAlertでレポートしたように、日米両国は先週、電気自動車のバッテリー製品に関わる重要鉱物の自由貿易を確保するため、二国間貿易協定を締結した。この協定は、リチウム、グラファイト、マンガン、コバルト、ニッケルといった「適用される重要鉱物の価値」の少なくとも40%を、米国、または米国が自由貿易協定を有する国において抽出または加工されているバッテリー製品で使われることを必要とする、第30D条クリーン・ビークル・クレジット(Clean Vehicle Credit)の重要鉱物の要件に直接応答したものであった。
先週までは、日本との間でこのような合意は成立していなかった。また、米国のインフレ抑制法(IRA)における「自由貿易協定」の定義がないと、この貿易協定が日本企業にこの貴重な税額控除のいずれかを提供するのに十分であったかどうかは明らかではなかった。
米国内国歳入庁(IRS)と米国財務省(Treasury)が新しく発行した米国規則制定提案告示(Notice of Proposed Rule Making: NPRM)は、これらの問題を解決するものである。米国規則制定提案告示(NPRM)は、税額控除に関する他のいくつかの明確化に加えて、「電気自動車のバッテリー製品に含有する重要鉱物に関するアメリカと他国間の合意」が、第30D条を満たすかどうか判定するための4つの「基準」を提案している。提案された規制では、貿易協定が以下を行っているかどうかを問う。
(A)貿易障壁または優先的根拠の低減または排除、
(B)両当事者が新たな貿易障壁を課すことを控えるとの約束、
(C)貿易に影響を及ぼす主要分野(中核的労働基準、環境保護など)における高度な規律の確立、及び/又は
(D)輸出に関する制限を軽減または排除し、又は締約国が輸出に関する制限を課することを自制することを約束すること。
米国財務省(Treasury)と米国内国歳入庁(IRS)は、「提案された規制は米国が包括的な自由貿易協定を締結している国を含む」とし、これらの要件を満たす「追加的な国」を含むと結論づけている。これらの要素を適用して、各省庁は「このような国の一例として、近年アメリカと重要鉱物協定(Critical Minerals Agreement: CMA)を締結した日本があげられる」と判断した。米国財務省(Treasury)と米国内国歳入庁(IRS)は、これらの要素を満たす「この新たな資格を有する国際協定を発効する」として、適格国のリストを継続的にアップデートする。
米国規則制定提案告示(NPRM)は、2023年4月17日に公式に公表され、パブリック・コメントのために公開される予定である。2023年4月18日以降に供用される全車両は、新しい要件の対象となり、新しい電気自動車を購入する適格納税者に影響を与えるだろう。
キルパトリック・タウンゼントは、パブリック・コメント期間中および提案された規則が効力を発揮した後も、これら進展を綿密にモニタリングしていく。提案された規制が、現在適用から除外されている欧州連合を含む米国の貿易相手国と、IRAの実施および同様の貿易取引の交渉に影響を及ぼすことは疑いがない。
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