Alerts 連邦巡回控訴裁判所、機械学習モデルを使用した発明の特許適格性基準を明確にする – Federal Circuit Clarifies Patent Eligibility of Inventions Involving the Use of Machine Learning Models
Written by Patrick Jewik and Cathy E. Cretsinger, Ph.D. (和訳:穐場 仁)
Recentive Analytics, Inc. v. Fox Corp., No. 2023-2437, slip op. at 18 (Fed. Cir. April 18, 2025)において、連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、「適用される機械学習モデルの改善を開示することなく、新しいデータ環境へ機械学習を一般的に適用するだけの特許は、[35 U.S.C.] § 101に基づき特許適格性を欠く」と判示した。
本件の発明は、ライブ・イベントのスケジュールを最適化するという問題と、特定の時間帯に特定の地理的市場内で放送局チャンネルが表示する番組やコンテンツを決定するという「ネットワーク・マップ」を最適化するという問題を解決するとされていた。本発明には、多数のイベント・パラメータとターゲット機能に関して機械学習モデルを訓練することが含まれていた。その後、訓練された機械学習モデルは、イベントのスケジュール作成に使用された。本判決で議論された特許の1つからのクレーム例を下記に示す。
1.イベント・スケジュールを動的に生成するコンピュータに実装された方法であり、方法は以下を含む:
一連のライブ・イベントのための1つまたは複数のイベント・パラメータを受信するものであり、1つまたは複数のイベント・パラメータは、会場の空き状況、会場の場所、提案されたチケット料金、出演者の料金、会場使用料、1人または複数の出演者による予定されたパフォーマンス、またはそれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む;
一連のライブ・イベントに関連する1つまたは複数のイベント・ターゲット機能を受信するものであり、1つまたは複数のイベント・ターゲット機能は、イベントの出席者、イベントの利益、イベントの収益、イベントの経費、またはそれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む;
1つまたは複数のイベント・パラメータ及び1つまたは複数のイベント・ターゲット機能を機械学習(ML)モデルに提供するもので、MLモデルはニューラル・ネットワークMLモデル及びサポート・ベクトルMLモデルのうち少なくとも1つのモデルを提供する;
1つまたは複数の過去の一連のライブ・イベントに対応する履歴データを使用して、異なるイベント・パラメータと1つまたは複数のイベント・ターゲット機能との間の関係を識別するために、MLモデルを反復的に訓練すること、ここではこのような反復訓練はMLモデルの精度を向上させる;
ユーザーから、複数の地理的地域で開催される将来の一連のライブ・イベントのための1つまたは複数のユーザー固有のイベント・パラメータを受信する;
ユーザーから、将来の一連のライブ・イベントに関連する1つまたは複数の優先順位付けされたイベント・ターゲット機能を表す1つまたは複数のユーザー固有のイベントの重みを受信する;
訓練されたMLモデルに、1つまたは複数のユーザー固有のイベント・パラメータと1つまたは複数のユーザー固有のイベントの重みを提供する;
訓練されたMLモデルを介して、1つまたは複数の優先順位付けされたイベント・ターゲット機能に対して最適化された将来の一連のライブ・イベントのスケジュールを生成する;
1つまたは複数のユーザー固有のイベント・パラメータに対するリアルタイムの変更を検出する;
訓練されたMLモデルの精度を向上させるために、学習されたMLモデルにリアルタイムの変更を提供する; および
訓練されたMLモデルを介して、将来の一連のライブ・イベントのスケジュールを、スケジュールが1つまたは複数のユーザー固有のイベント・パラメータへのリアルタイムの変更に鑑みて、1つまたは複数の優先順位付けされたイベント・ターゲット機能に対して最適化されたままであるように、更新すること。
CAFCは、Alice Corporation v. CLS Bank International, 573 U.S. 208 (2014)で規定された2段階の特許適格性テストをクレームに適用した。
第1段階では、CAFCは、クレームが「コンピュータの能力に関し具体的になされた改良点に焦点を当てているものであるか、それとも、代わりに、コンピュータが単なる道具として用いられる抽象的なアイデアと評価されるプロセスに焦点を当てているものであるか」を判断した。CAFCは、本発明は具体的な技術的改良を欠いており、したがって抽象的なアイデアを記載しているものと結論付けた。この結論に至るにあたり、CAFCは、発明がイベント・スケジュールとネットワーク・マップを生成するためのクレームされた方法を実行するために、一般的な機械学習技術を使用していると述べた。具体的には、公知の機械学習手法の一覧を含む「任意の適切な機械学習技術」を本発明に使用することができるという特許明細書の記述に言及した。注目すべきことに、CAFCは、機械学習を新しい使用分野に適用しているためクレームは適格である、という特許権者の主張を却下した。
第2段階において、CAFCは、「機械学習の応用によりイベント・スケジュールとネットワーク・マップを生成する」という抽象的なアイデア以上の「著しく多い(significantly more)」ものをクレーム中に見出すことはできないと述べた。
これまで、機械学習発明に対する2段階の特許適格性テストを適用するUSPTOのアプローチは混乱を招いていた。今回の判決により、USPTOの審査官は、特定の用途において機械学習の使用を広くクレームする特許出願を拒絶するための明確な基準を得ることになった。
以下は、機械学習の発明を特許として評価する際に考慮すべきポイントである:
1. 既知の機械学習モデルを新しい種類のデータに適用する発明は、USPTOによって拒絶される可能性が高い。このカテゴリに該当する可能性のある発明は、機械学習モデル自体に改善があるかどうかを慎重に評価すべきである。機械学習モデルに改善がある場合、明細書は改善された機械学習モデルの詳細に焦点を当てるべきである。改善が存在すると一般的に主張するのではなく、改善を定量化することで特許適格性の主張を強化することができる。
2. ある発明が1つの好ましいタイプの機械学習モデルを使用する発明の場合、特許出願における発明の説明は、どのような機械学習モデルでも使用できると記載するのではなく、特定のタイプの機械学習モデルに焦点を当てる方が良い場合がある。明細書には、好ましいタイプの機械学習モデルを選択した理由についての説明を含めるべきである。
3. 発明における機械学習モデルの訓練および/または使用に関連する重要な前処理または後処理ステップがある場合、それらの処理ステップが、発明の機械学習モデルの側面とは無関係に、組み合わせで特許性があるかどうかを評価するべきである。
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