Alerts 日米貿易協定 – 関税緩和と利害関係者へのチャンス

2025年09月05日

Written by Stephen M. Anstey, John C. F. Loving and Keval V. Patel (和訳:穐場 仁)

2025年9月4日、トランプ大統領は「日米協定 (Implementing the United States–Japan Agreement)」と題する大統領令 (Executive Order) を発表した。この大統領令は、トランプ大統領が7月22日に発表した日米貿易協定の発表に続くもので、「米国は、米国に輸入されるほぼすべての日本製品に対して基準となる15%の関税を適用する」と規定している。ただし、この大統領令には、「自動車及び自動車部品、航空宇宙製品、ジェネリック医薬品、並びに米国内で自然に存在せず生産もされない天然資源」については、関税の軽減、場合によっては関税免除を含むことを認められている。日米協定は、2025年8月21日付「米国・欧州連合間の相互的、公正かつ均衡の取れた貿易協定の枠組みに関する共同声明 (Joint Statement on a United States–European Union Framework for an Agreement on Reciprocal, Fair, and Balanced Trade)」と同様の構造を踏襲している。

多国間貿易協定の複雑かつ流動的な性質を踏まえると、日米協定および米国・EU連合フレームワーク (United States–European Union Framework) の双方において、今後も更なる改正や精緻化が行われることが予想される。関係国間の交渉が継続する中で、関税緩和の範囲は拡大または縮小される可能性があり、新たな経済的・政治的・業界固有の考慮事項に対応するため追加規定が導入される可能性がある。したがって、利害関係者はこれらの貿易協定に関する継続的な動向を注視し、自らの利益に沿った関税緩和やその他の結果を提唱するために、政府、関連機関、議会と積極的に連携することが強く推奨される。

本大統領令 (Executive Order) は、日本製品の大多数に15%の関税を課す。特に、「米国関税率表 (HTSUS) のカラム1関税率 (Column 1 Duty Rate in the Harmonized Tariff Schedule of the United States)」が15%未満の日本製品については、そのカラム1関税率と本大統領令に基づく追加の従価関税額の合計が15%となる。カラム1関税率が15%以上の日本製品については、本大統領令に基づく追加関税率はゼロパーセントとなる」という相互関税を規定している。さらに、この大統領令は「極めて重要な点として、米国史上いかなる協定とも異なり、日本政府は米国に5,500億ドルの投資を行うことに合意した」と述べ、日本政府による独自の約束を強調している。

大統領令 (Executive Order) は特定品目に対する救済措置を規定している。航空宇宙製品については、「無人航空機を除く、世界貿易機関協定の民間航空機の貿易協定 (World Trade Organization Agreement on Trade in Civil Aircraft) に関する対象となる日本製品については、[既存の] 措置及びその後の是正措置を通じて課された関税は、今後適用されない」と規定している。さらに、日本製の自動車および自動車部品の関税率は15%に引き下げられ、これは従来の27.5%から大幅な減税となる。

特に政権が当初、貿易交渉において特定品目に対する関税免除は行わない、との姿勢を示していたことを踏まえると、特筆すべき条項は「第5条. 相互関税の対象とならない製品 (Sec. 5. Products Not Subject to Reciprocal Tariffs)」である。この条項は次のように規定している。

(a) 協定の条項を実施するため、担当長官 (Secretary) は、修正された大統領令 (Executive Order) 14257に基づき課される相互関税率を、米国において入手不可能 (または国内需要を満たすのに十分な規模で入手不可能な) 天然資源、ジェネリック医薬品、ジェネリック医薬品原料、およびジェネリック医薬品化学前駆体である日本製品についてゼロパーセントに変更する権限を有する。

(b) 相互関税率をゼロパーセントに変更する時期及び対象製品を決定するにあたり、担当長官 (Secretary) は米国の国益、本命令の目的、改正された大統領令14257で宣言された国家緊急事態への対応の必要性、section 232に基づき特定された国家安全保障上への脅威を軽減または排除する必要性に合致した方法で行動するものとする。また、担当長官は、協定に基づく両政府の約束の範囲および性質、両当事者による実施措置、並びに適切と認められるその他の要素を含む、様々な要素を考慮するよう指示される。

米国・日本、EU、あるいは相互関税の影響を受けるその他の国々を巻き込む貿易交渉の複雑かつ継続的な性質は、関税救済の確立された先例と連邦機関に付与された相当な裁量権と相まって、関税規定の継続的な修正に大きな機会を生み出している。その結果、経済的、政治的、業界固有の優先順位の変化に対応するため合意が進化するにつれ、将来的に追加製品が救済措置の対象となる可能性がある。したがって、これらの合意の影響を受ける利害関係者は、警戒を怠らず、関連する連邦政府のプロセスや政策提言活動に参加することが強く推奨される。積極的に関与することで、利害関係者は自身の利益をより効果的に守り、これらが新たな経済的、政治的、業界固有の優先事項に適応する中でその進化する合意条件を形作ることができる。

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