Alerts FASCSA 指定に関するAnthropicの執行停止申立 (Motion for Stay) をD.C. Circuitが却下
Written by Gautam Y. Reddy, Gunjan R. Talati and Jennifer L. Andrews (和訳:穐場 仁)
2026年4月8日、コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所 (D.C. Circuit) の3名の合議体は、アメリカ合衆国戦争省 (Department of War) がFederal Acquisition Supply Chain Security Act ( FASCSA, 41 U.S.C. § 4713) に基づき、Anthropicをサプライチェーン上のリスクに指定したことに関する、Anthropicの緊急執行停止申立 (emergency motion for a stay) を却下した。しかし、裁判所は、迅速な審理を求めるAnthropicの要請を認め、短い書面提出スケジュールを設定するとともに、2026年5月19日に口頭弁論を行うことを決定した。現在、この決定と、10 USC § 3252およびトランプ大統領とHegseth長官による指令に関するカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 (Northern District of California) の仮差止決定 (preliminary injunction) の承認との間に矛盾が生じている。
D.C. Circuitはどのような判断を下したのか?
同裁判所は、仮差止命令が正当化されるかどうかを判断するための4要素テスト:本案における勝訴の見込み、申立人に対する回復不能な損害、政府に対する損害、および公益、について簡潔に検討した (政府が相手方であるため、3番目と4番目の要素は統合されている)。なお、この決定はカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 (N.D. Cal.) の決定よりもはるかに短く、より簡潔なものとなっているが、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 (N.D. Cal.) は決定を下す前に当事者双方の弁論を聴取するという機会があった。第一に、裁判所はAnthropicの勝訴の見込みについては言及を避け、本件には新規かつ困難な問題が含まれていると述べるにとどめた。第二に、裁判所は、Anthropicがある程度の損害を被るものの、その損害は主に金銭的なものであると判断した。その根拠として、裁判所は、アメリカ合衆国戦争省 (DoW) の指定により顧客の大多数には影響が及ばない、との世論をなだめようとしたAnthropicの公式声明を指摘した。最後に、裁判所は、アメリカ合衆国戦争省 (DoW) がAnthropicの利用を中止することについて重大な利益を有すると認定した。これは、差止命令を認めてもアメリカ合衆国戦争省 (DoW) がAnthropicの利用を継続することを強制させることにはならないとしたカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 (N.D. Cal.) の決定とは著しく異なる。また、この裁判所の認定は、Anthropicの立場を支持する退役軍の高官や元国家安全保障担当政府高官によるアミカス・ブリーフ (amicus briefs) の内容とも矛盾するものであった。
この判決の実質的な影響は何か?
本判決は、4月2日に発効したカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 (N.D. Cal) 仮差止決定 (preliminary injunction) には影響しない。同決定により、Anthropicは商業業務および同決定に列挙された17の政府機関との業務において、引き続き利用することが認められている (当該差止決定の適用範囲に関する詳細は、当所の別のlegal alertをご参照ください)。 Hegseth長官による「直ちに、アメリカ軍と取引を行う請負業者、供給業者、またはパートナーは、Anthropicとのいかなる商業活動も行ってはならない」という声明は、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 (N.D. Cal) の口頭弁論において政府によって撤回されており、法的効力を有しない。したがって、現在、各事業体はAnthropicとの商業活動を行いながら、引き続きアメリカ軍との取引を行うことが可能である。
とはいえ、対象システムにおけるアメリカ合衆国戦争省 (DoW) 関連業務については、FASCSAの指定は引き続き有効であり、これらの特定の契約に限ってはAnthropicの利用が禁止されたままとなる。前述の通り、口頭弁論は2026年5月19日に予定されている。迅速な審理日程を考慮すると、口頭弁論から数週間以内にコロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所 (D.C. Circuit) による本案判決が下される可能性がある。同判決は、FASCSAの指定が法的異議申立を乗り越えられるかどうかを実質的に明確にし、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 (N.D. Cal.) 差止命令の継続的な有効性を強化するか、あるいは弱体化させることになるであろう。当面は、組織内におけるAnthropicの利用について恒久的な決定を下すことは避け、引き続きAnthropicの利用状況、特に軍事契約や下請契約における利用状況を監視・監査することを推奨する。
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