Blog 連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)は、自認公知例(Applicant Admitted Prior Art)が当事者系レビュー(IPR)の根拠となり得ないことを確認 – Federal Circuit Confirms that AAPA May Not Form the Basis of a Ground in an IPR
by John C. Alemanni , Michael T. Morlock (和訳:穐場 仁)
2月上旬に発行された先例となる判決(precedential opinion)において、連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)は、自認公知例(Applicant Admitted Prior Art, 「AAPA」)が、35 U.S.C. § 311(b)に基づく「特許又は刊行物(printed publication)からなる先行技術」を構成せず、従って、当事者系レビュー(inter partes review)の基礎となり得ないと判断した。 Qualcomm Inc. v. Apple, Case Nos. 2020-1558, -1559 (Fed. Cir. Feb. 1, 2022), Slip at 3. この判決は、自認公知例(AAPA)の使用に関して、2020年8月18日に米国特許商標庁(USPTO)長官によって発行されたガイダンスを認めるものである。
本IPRでは、申請人の申請理由の1つは、対象となるクレームの限定の大部分が特許公報と既知であることを認める自認公知例(AAPA)との組み合わせに依拠していた。特に、対象となる特許は、既知の問題を改善する従来技術の方法を記載している。特許権者は、提示された組み合わせが、対象のクレームの各要素を教示することを認めていた。また、特許権者は、「一般知識及びnon-Section 311(b) art (例えば自認公知例(AAPA))は、当事者系レビュー(IPR)において果たすべき役割を有し得る」ことを認めたが、それは申請根拠の「基礎」を形成することはできないと主張した。USPTOは、参加人(intervener)として、特許審判部(Board)がUSPTO長官のガイダンスを適用できるように、差し戻しを要請した。
連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)は、§ 311(b)の文言が査定系再審査(ex parte reexamination), 35 U.S.C. § 301(a)の文言と同一であるとし、さらに§ 301(a)における文言がそれ自体は先行技術ではない特許を除外するものと解釈されていることに注目した。結果として、査定系再審査(ex parte reexamination)における自認公知例(AAPA)の排除は、当事者系レビュー(inter partes review)にも同様に適用される。連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)は、自認公知例(AAPA)は、当事者系レビュー(inter partes review)で考慮され得るが、申請理由の基礎を形成することはできないと主張した。連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)は、自認公知例(AAPA)が申請理由の基礎を形成したかどうかの問題を審理するために、手続きを特許審判部(Board)に差し戻した。
2020年に発行されたガイドライン以降のベストプラクティスは、当事者系レビュー(inter partes review)の申立てにおける根拠としての自認公知例(AAPA)の使用を回避することであった。今回の判決はこの戦略を確認するものであり、従って、新たな申立ての準備には大きな影響を与えることはないはずである。しかし、この決定は特許権者が自認公知例(AAPA)に依拠する申請書に異議を申し立てるための新たな根拠を提供するものであり、ガイダンス以前に提出された申請書を含め、その多くは、依然として再聴取、USPTO長官による再審理、または控訴の対象となっている。
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