AI発明の特許性の評価 5つの実務上のヒント – 5 Practice Tips | Evaluating Patentability of AI Inventions

2020年7月21日

執筆:ロドニー・H・ロスウェル(和訳:穐場 仁)

5つの実務上のヒント

AI発明の特許性の評価

Kilpatrick Townsend & Stockton LLPの Kate Gaudry弁護士とRodney Rothwell弁護士は、今夏the Association of Corporate Counsel National Capital RegionのSummer Series:「人工知能(AI)イノベーションの保護-独特の課題と戦略」に参加した。AIイノベーションは、機械学習(machine learning)の開発から、戦略的トレーニングセット(training-set)の選択、AIからの特定の結果の検出・使用まで、あらゆるものを網羅している。

Rothwell弁護士は、「AI発明の特許性を評価するための5つの実務上のヒント」を下記のように提案する。

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「AI発明」の潜在的なタイプを特定する:(i) 新しいタイプのAIで、新規または改良されたアルゴリズムまたはアルゴリズムの組み合わせに関する発明。アルゴリズムの例には、線形およびロジスティック回帰アルゴリズム(logistic regression algorithms)、自動ニューラルネットワーク(automated neural networks)、決定木(decision trees)、および勾配ブースティングアルゴリズム(gradient boosting algorithms)が含まれる。 (ii) AIの新しい応用で、問題を解決するためにアルゴリズムがどのように適用されているかに関係する発明。例としては、トレーニングデータ(training data)の収集および処理方法、アルゴリズムのトレーニング方法、アルゴリズムから出力およびデプロイされるモデル、モデルの出力、モデルの出力がダウンストリームプロセス(downstream processes)でどのように使用されるかなどが含まれる。(iii) AI活用によるイノベーション。これには、AIを使用し、創薬、工業化学、新しいフィンテック(fintech)、新材料の作成、新製品の設計など、AIとは違う技術分野における研究開発を行うことに関連する発明。 (iv) AI自体によってなされたイノベーションで、人間の発明者なしにAIによって作成された新しい発明に関するもの。(現時点では、AIを単独発明者として列挙することができなく、そのため最終的に発明を生成する「発明の跳躍(inventive leap)」に貢献する人間の発明者を含む必要がある)。

2

AI特許適格性:米国では、特許適格性は移動するターゲットで、米国特許法101条に関する判例の継続的な進化によって動かされている。より複雑なことに、米国特許商標庁(the patent and trademark office)は、101条に基づいて特許クレームを分析するための独自のトレーニングおよびガイダンス資料にも重きをおいている。一般に、現行の指針に基づくと、次の場合にはクレームは特許を受けることができる:判例上の例外に向けられていない場合(抽象的概念、自然法則及び自然現象(自然の生成物を含む);クレームが対象としている判例上の例外が実用的な応用と一体化されている場合;又は、クレームが判例上の例外を著しく超えるものである場合。新しいタイプのAIの発明およびAIの新しいソフトウェアの統合についての特許適格性は、ソフトウェア分野における特許適格性の展開状況に大きく依存する可能性が高い。ソフトウェアの特許性に有利になるケースが増えるにつれて、AI発明の特許適格性のためにより多くの道筋が形成される。対照的に、AIと共に、またはAIによって開発された発明の特許適格性は、発明の分野に依存する可能性が高い。

3

一般的にAI発明の特許適格性を評価する際に、技術が人々の生活以外にどのような改善を提供しているかを見る:例えば、(i) モデルの選択やトレーニングが速度や精度を向上させるか、あるいは、それまで実行できなかった機能をコンピュータが実行する能力を向上させるか、(ii) トレーニングデータ(training data)の生成やフィルタリングが、より少ない計算資源または処理速度を必要とするモデルという結果になっているか、および (iii) 特定のパラメータ、特徴または閾値が、処理速度を向上させるか、またはネットワークのレイテンシ(latency)を短縮するためにより重要であるか、などである。クレームが、精神的な作用では合理的に実行できない操作や、特定された改善に特に寄与する操作を記述してドラフト可能かどうかを決定する。例えば、AIシステムを実行するコンピュータの動作のような「コンピュータ技術」を改善したり、AIシステムを実装する診断テストの正確性又は精度のような「正確性」又は「精度」を改善することをクレームに含めることができるような特徴があるかどうか。クレームに含めることができるアーキテクチャ上の特徴(例えば、入力層(input layers)、隠れ層(hidden layers)、出力層(output layers)、パラメータ(parameters)、ハイパーパラメータ(hyperparameters)、接続(connections)などのようなニューラルネットワークの構造)、および/または問題に対する明確に定義された解決策を提供する合理的に主張されたAIプロセス上の特徴があるか。

4

AI発明の新規性及び自明性:社会の主流におけるAIの受容は新しい現象であるが、新しい概念ではない。それにもかかわらず、AIは、理解し実装するためにまだかなり高いレベルの専門知識を必要とするため成熟した技術ではなく、毎週のように技術が進歩し、新しく、そして多様なブレークスルーの割合が比較的高い。AIは成熟した技術ではなく、したがってほとんどの未来の技術と同様に、AIにおけるイノベーションの多くは自然に新しいものであり、自明ではなく、技術革新が新しいものではないこと、または自明であることを実証するための先行技術は少数しか存在しない。それにもかかわらず、新しいタイプのAIの発明とAIの新しいソフトウェア統合の新規性と非自明性は、AIが社会に統合され続けるにつれて実証することがより困難となるだろう。そして、先行技術の量が年々指数関数的に増加するにつれて、より多くのAI「構成要素(building blocks)」が、自明性の議論を構築するために審査官に利用可能となるだろう。AI発明の新規性と自明性の評価は、広範囲の特許性調査に従って実施されるべきである。特許適格性と同様に、AIと共に、またはAIによって開発された発明の新規性および非自明性は、発明の特定の分野に依存する可能性が高い。

5

AI発明の開示:一般に、発明の分野が予測可能であれば、少ない開示で十分であることが理解されている。「AIイノベーション」が「予測可能な」空間にあるかどうかは、イノベーションに依存する。たとえば、ルールベースのAIシステムの保護を求める場合、そのようなシステムは一般的に予測可能でよく理解されているように、少ない開示が認められる可能性が高くなる。一方、人間の介入や知識がなくても、学習およびトレーニングプロセス中に進化する重みを持つ多数の隠れ層を持つディープラーニングシステムの保護を求める場合、そのようなシステムは予測不能と理解されているため、より多くの開示が必要になる可能性が高くなる。AIイノベーションのトレーニングと実行に使用されるドメイン固有のデータについては、データの一般的な記述が十分かどうか、あるいは、開示の十分性を確保するためにトレーニングデータ自体を一般に公開する必要があるかどうか、また、同様のモデルのトレーニングが過度の実験なしに再現可能であるかどうかという問題を提起する。多くの場合、このデータには重要な独立した価値があり、一般に公開されているため、代替収益の流れを妨げたり、競合他社に設計変更の発展を容易にさせる可能性がある。したがって、この値は、特定のケースで特許保護を追求することを決定する程度に影響を与える可能性がある。現在のところ、特許庁はこの感情を認識しており、トレーニングデータの収集方法と、それに含まれるべき主な特徴の一般的な開示で十分であると思われる。

詳細問い合わせ先 Rodney Rothwell 弁護士(rrothwell@kilpatricktownsend.com)

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