Alerts ホワイトハウス、AIに関する包括的な大統領令(Executive Order)を発表 米連邦議会(Congress)と米行政機関(Executive Agencies)が引き続き行動を起こす – Artificial Intelligence – White House Issues Sweeping Executive Order on AI as Congress and Executive Agencies Continue to Take Action

2023年10月31日

Written by Stephen M. Anstey    (和訳:穐場 仁)

ホワイトハウス、米連邦議会(Congress)および米行政機関(Executive Agencies)は、人工知能(AI)に関する調査、情報収集、規制やガイダンスの策定を続けている。これらの取り組みには、ホワイトハウスが最近発表した人工知能の安全、安心かつ信頼できる開発と使用に関する画期的な大統領令が含まれている。

I. ホワイトハウス –

a. 人工知能の安全、安心かつ信頼できる開発と使用に関する大統領令(Executive Order)

2023年10月30日、バイデン大統領は、「アメリカが人工知能の有望性を捉え、リスクを管理する上で、アメリカが先導的な役割を果たすことを確実にするための画期的な大統領令(Executive Order)」を発表した。ホワイトハウスが公表した関連するFact Sheetによれば、安全、安心かつ信頼できる人工知能に関する大統領令は、「AIの安全性とセキュリティに関する新たな基準を設定し、アメリカ人のプライバシーの保護、公平性と市民権の向上、消費者と労働者の支援、イノベーションと競争の促進、世界におけるアメリカのリーダーシップの推進など」を定めている。

Fact Sheetにも記載されているように、大統領令はガイドラインを定め、以下の広範なカテゴリーに基づいて行動を支持している:AIの安全性とセキュリティに関する新たな基準;アメリカ人のプライバシーの保護;公平性と市民権の推進;消費者、患者、学生の支援;労働者の支援;イノベーションと競争の促進;海外におけるアメリカのリーダーシップの促進;そして責任ある効果的な政府のAIの使用の確保。

大統領のFact Sheetでは、より具体的な行動として、以下のような最も影響力のあるものが含まれている:

  • 国防生産法(Defense Production Act)に関して最も強力なAIシステムの開発者は、安全性テストの結果やその他の重要な情報を米国政府と共有しなければならない。
  • 米国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)、米国土安全保障省(Department of Homeland Security)、米エネルギー省(Department of Energy)は、AIシステムの安全、安心かつ信頼を確保するための基準、ツール、テストを開発する。
  • 米商務省(Department of Commerce)は、AI生成コンテンツの検出し公式コンテンツを認証のための基準とベストプラクティスを確立し、AIが生成したコンテンツを明確に表示するためのコンテンツ認証と透かしに関するガイダンスを開発することを含め、AIが可能にする虚偽と欺瞞からアメリカ人を保護する。
  • 重要なソフトウェアの脆弱性を発見し修正するAIツールを開発するための高度なサイバーセキュリティ・プログラムを確立する。
  • 米国家安全保障会議(National Security Council)とホワイトハウスの首席補佐官(Chief of Staff)によって作成される、AIとセキュリティに関する更なる行動を指示する国家安全保障検討覚書(National Security Memorandum)の作成を命じる。
  • 個人のプライバシーを保護する暗号ツールなど、プライバシーを保護する研究と技術を強化し、急速なブレークスルーと開発を推進するためのリサーチ・コーディネーション・ネットワーク(Research Coordination Network)の資金提供を行う。
  • AIシステムで使用されるものを含め、プライバシー保護技術の有効性を評価するための米連邦機関向けガイドラインの作成。
  • AIに関連する市民権侵害の調査と起訴するためのベストプラクティスについて、訓練、技術支援、米司法省(Department of Justice)と連邦市民権事務所との間で調整を通じてアルゴリズムによる差別を対処する。
  • 米保健福祉省(Department of Health and Human Services)の支援を得て、医療分野でのAIの責任ある使用と手頃な価格の生命を救う薬の開発を推進する。
  • 労働者にとってAIの害を軽減し、利益を最大化するための原則とベストプラクティスを開発する。
  • 米国務省(State Department)は、米商務省(Commerce Department)との協力のもと、AIに関して協力するための二国間、多国間、マルチステークホルダー (複数の利害関係者)間との関わりを拡大する努力を主導する。

前述の通り、この大統領令はAIの開発と使用に関して包括的な基準を設定し、行政機関の大幅な関与を必要とし、Fact Sheetは大統領令を「AIシステムの潜在的なリスクからアメリカ人を保護するためにこれまでに取られた最も包括的な措置」と評している。


II.
米議会(Congress) –

a. 会議

i.Schumer上院議員の第2AIに関する超党派フォーラム

2023年10月24日、多数党院内総務のChuck Schumer上院院内総務(民主党-NY州)が、第2回AIインサイト・フォーラムを主催した。第1回フォーラムは2023年9月13日に開催された。本フォーラムには、「労働、学術、ビジネス、テクノロジー、市民権」および政治指導者やAI専門家が参加した。

第2回フォーラムの冒頭演説で、Schumer上院議員は、「初開催のフォーラムでは、両党からの強力な参会者が集まり、第2回も同様の参会者が集まったことは良いことである。これは、我々がいかに超党派で、いかに真剣にこの問題を上院で取り組んでいるかを強調するものだ」と述べた。Schumer上院議員はまた、「AIは実質的に生活のほぼすべての角度を変えるだろう。だからこそ、このテーブルには生活の隅々からの声が必要だ。それが本日の討論では、バランスの取れた、多様で、幅広いグループで組織することが、我々の最優先事項である」と述べた。

第2回フォーラムは以下の4つの主要トピックに焦点を当てた:

  • 資金提供を通じてAIにおける米国のリーダーシップを推進し維持、Rounds上院議員が主導;
  • 民間部門のAIイノベーションを促進するメカニズム、Heinrich上院議員が主導;
  • 変革的なイノベーションの必要性、Young上院議員が主導;そして
  • 持続可能なイノベーションの必要性、Senator上院議員が主導。

第2回フォーラムの声明はhereで見ることができる。Schumer上院議員が2023年11月1日に金融界のリーダーを招きビジネスにフォーカスした第3回AIフォーラムを主催する予定であると報じられている。


b.
関連法案

i. S.2770 – 欺瞞的AIから選挙を保護する法案(Protect Elections from Deceptive)およびH.R.3044 – リアル政治広告法(REAL Political Advertisements Act)

選挙が再び大きな焦点を占め始めるにつれて、選挙におけるAIの潜在的な役割に注目が高まっている。例えば、2023年9月12日、Amy Klobuchar上院議員 (民主党-ミネソタ州)は、共同提案者としてJosh Hawley上院議員 (共和党-ミズーリ州)、Christopher Coons上院議員(民主党-デラウェア州)、Susan Collins上院議員 (共和党-メイン州)、Michael Bennet上院議員(民主党-コロラド州)およびPete Ricketts上院議員 (共和党-ネブラスカ州)とともに欺瞞的AIから選挙を保護する法案(S.2770 – Protect Elections from Deceptive AI Act)を提出した。この法案目的は、「[中略] 「連邦政府公職の候補者及びその他の目的に関する、著しく欺瞞的なAI生成の音声または映像メディアの配布を禁止すること」である。法案はその後、米上院議事規則議院運営委員会(Committee on Rules and Administration)に付託された。

2023年5月3日、Yvette Clark下院議員は、関連法案を下院に提出した。この法案、リアル政治広告法(H.R. 3044 – REAL Political Advertisements Act)は、「1971年の連邦選挙キャンペーン法(Federal Election Campaign Act)を改正し、政治広告における人工知能(生成AI)によって生成されたコンテンツの使用について、その透明性と説明責任を更に高めることを目的とする。生成AIが広告内の画像やビデオ映像の生成および他の目的のために使用された場合、広告の内容の中にその旨の声明を記載することを義務づけるものである」。


ii.
オリジナルを育て、アートを促進し、エンターテイメントを安全に保つ法案(Foster Art and Keep Entertainment Safe Act, NO FAKES Act)

2023年10月12日、Chris Coons上院議員、Marsha Blackburn上院議員、Amy Klobuchar上院議員およびThom Tillis上院議員は、オリジナルを育て、アートを促進し、エンターテイメントを安全に保つ法案(Nurture Originals, Foster Art and Keep Entertainment Safe Act, NO FAKES Act).の草案を公表した。関連するPress Releaseによれば、NO FAKES Actは、「この種の視聴覚作品や音声物における合意のないデジタル複製の使用に対処する」ものである。Press Releaseにはまた、草案が以下のような内容を含むことを指摘している:

  • パフォーマンス中の個人を無許可でデジタル複製した場合、個人または企業に責任を問う;
  • 複製が個人の許可を得ていないことを知っていた場合、無許可のデジタル複製をホストするプラットホームに責任を問う;そして
  • 認識された米憲法修正第1条(First Amendment)の保護に基づき、特定のデジタル複製を対象から除外する。

NO FAKES Actは、「米連邦議会(Congress)が個人とクリエイターの保護、米憲法修正第1条(First Amendment)への配慮、およびAIにおける米国のリーダーシップとイノベーション促進の必要性とのバランスを適切に保てるようにステークホルダーとともに」継続的な支援をするための討議案として発表された。


c.
公聴会 (Hearings)

AIに関する以下の連邦議会委員会(Congressional Committee)の公聴会(hearing)が、ここ数週間の間に以下のように開催された:

  • 2023年10月19日、下院司法小委員会(House Judiciary Subcommittee)、裁判所、知的財産
    ヒアリング(Hearing) – 知的財産と中国との戦略的競争:第III部  – 知的財産の盗難、サイバーセキュリティおよびAI
  • 2023年10月19日、エネルギー、気候、グリッド・セキュリティ小委員会(Energy, Climate, and Grid Security Subcommittee)
    ヒアリング (Hearing) – アメリカのエネルギーの未来における人工知能の役割


III. 米行政機関 (Executive Agencies)

米行政機関 (Executive Agencies)、特に連邦取引委員会(Federal Trade Commission , FTC)は、AIの規制と執行に強い関心を持ち続けている。例えば、FTCは各種クリエイティブな分野のステークホルダーと以下のようなラウンドテーブルを開催した:

  • 2023年10月4日、連邦取引委員会(Federal Trade Commission)
    ラウンドテーブル(Roundtable) – クリエイティブ・エコノミーと生成的AI

FTCはまた、2024年3月に開催される年次PrivacyConイベントに向けて、AIに関する研究発表を募集している。


次のステップ

関連するAIの行政命令(Executive Orders)、法案そして規制が発展変化し続ける中、AIを利用している者、またはAIに影響を受けている者は、必要なコンプライアンスの枠組み、適用可能な既存の規制、新たなAI特有の規制の制定、関連法案の草案と成立に向けた努力、連邦政府による意見募集と規則制定、執行上の懸念、そして使用事例の拡大について認識しておく必要がある。

記事の詳細については、次の弊所担当者までご連絡ください:

Stephen Anstey: sanstey@kilpatricktownsend.com
Jennie Cunningham: jlcunningham@kilpatricktownsend.com
Joel Bush: jbush@kilpatricktownsend.com
Amanda M. Witt: awitt@kilpatricktownsend.com
James Trigg: jtrigg@kilpatricktownsend.com
Mehrnaz Boroumand Smith: mboroumand@kilpatricktownsend.com
John Loving: jloving@kilpatricktownsend.com

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