Blog 魔法の言葉は必要ない:PTAB手続きにおける「類似技術(Analogous Art)」の定義が明確に – No Magic Words Required: Clarifying What Constitutes “Analogous Art” in PTAB Proceedings

2023年09月13日

by Justin L. Krieger  (和訳:穐場 仁)

特許審判部(PTAB)への申立人は、しばしばクレームが先行技術の組み合わせにより自明であると主張することが多い。あらゆる自明性を問うしきい値的な要件は、先行技術が類似技術(analogous art)で構成されているか否かである。9月11日、米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、PTABの手続きにおいて、この要件を満たすために申立人に要求される事項を明確にした。

2020年3月、Netflixは、DivXが所有するマルチメディアファイルのエンコードとデコードに関連する特許が2つの先行技術文献より自明であるとして当事者系レビュー(IPR)を提起した。DivXは反論の中で、Netflixが用いた2件目の先行技術文献は非類似技術(non-analogous art)であり、対象特許が解決しようとする課題に合理的に関連するものではないと主張した。そのため、DivXによれば、この文献は自明性とは無関係であった。PTABはこれに同意し、2021年9月に申立人が使用した先行技術文献の技術分野(field of endeavor)を明らかにしなかったとする最終決定(final written decision, FWD)を下した。 Netflix v. DivX, IPR2020-00646, Paper 47.これに対し、NetflixはCAFCに控訴した。

9月11日、CAFCは、PTABの最終決定(FWD)を一部取り消し、PTABに差し戻す判決を下した。その際、CAFCは、類似技術(analogous art)の範囲を定義するために次の2つの別々のテストが使用されることを再確認した。すなわち、(1) 問題(problem being addressed)が何かであるかに関係なく、その技術が同じ技術分野(field of endeavor)のものかどうか、および (2) その文献が異なる技術分野(field of endeavor)のものである場合、その文献が議論となっている特定の問題に合理的に関連しているかどうか、である。CAFCは、(2)についてはPTABの決定は実質的な証拠に基づいていると支持したが、具体的な文言を用いて技術分野(field of endeavor)を明示的に特定することをNetflixに要求したことについては、その裁量を逸脱したと判断した。CAFCによれば、判例法は「魔法の言葉の使用を要求していない」。実際のところ、Netflixは、特定のファイルタイプとマルチメディアファイルのエンコードとデコードに関連する技術分野(field of endeavor)を特定していた。CAFCは、申立人が技術分野(field of endeavor)を明示的に定義しない場合であっても、その書面を全体としてみれば、その問題についての主張を構成する可能性があると結論付けた。本件は、Netflixの主張に基づき特許と先行技術が同じ技術分野(field of endeavor)を共有しているかどうかを検討するため、PTABへ差し戻された。 Netflix, Inc. v. DivX, LLC, 2022-1138 (Fed. Cir. Sept. 11, 2023).

実務者ポイント:申立人は、自明性の要件である「類似技術」を念頭に置き、(1) 類似している場合には、対象特許と先行技術の主張する技術分野を、(2) 類似していない場合には、先行技術が対象特許の対処する問題に関連しているかどうかを、明確に述べるべきである。特許権者は、主張された先行技術を慎重に精査し、適切であれば、先行技術を非類似文献として反論を行うべきである。

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