Alerts アンディ・ウォーホル財団(Andy Warhol Foundation) v Goldsmith: 変化の時、それとも混乱?- Andy Warhol Foundation v. Goldsmith: A Sea Change or Muddy Waters?

2023年05月19日

Written by Joseph PetersenRob PotterJames A. Trigg and Anna Antonova  (和訳:穐場  仁)

著作権のフェア・ユース法理(fair use doctrine)を芸術作品の文脈で検討した約30年振りの米国連邦最高裁判所の判決において、同所は、Andy Warhol財団がCondé Nast(コンデナスト)にWarholの”Orange Prince”の使用ライセンスを供与したことは、十分に「変容的(transformative)」ではないと判示した。

注) “Orange Prince”は、Lynn Goldsmithが撮影したプリンスの写真に基づくWarholの作品 (Lynn Goldsmithによるプリンスの写真と“Orange Prince”はこちらを参照)

注) 変容的(transformative)は、フェア・ユースに基づく防衛の条件となる4つの法律上の要素の一つ

17 U.S.C. § 107 (米国著作権法107条)で成文化された著作権のフェア・ユースは、4つの非排他的な要素から成るバランス・テストである。近年、第一の要素が重要性を増しており、第一の要素の下で二次利用が「変容的(transformative)」であることとされると、他の要素はあまり重きを置かれてこなかった。

この第一の要素にのみ焦点を当てた詳細な多数意見の中で、Sotomayor判事は、第一の要素の条文の文言が「商業的性質のものであるか、非営利教育目的のものであるかを含む、使用の目的及び特性」を考慮すると明示していることを度々強調した。17 U.S.C. § 107(1) (強調追加)。多数意見では、この要素は、著作物の外観における「芸術的」な変容をあまり必要とせず、代わりに著作物の目的におけるより「実際的」な変容を要求している。

したがって、最高裁は、この場合におけるWarhol財団の特定の使用-プリンスの記念雑誌号で使用するためにCondé Nastへ”Orange Prince”の使用ライセンスを供与したこと ー はGoldsmithが撮影したオリジナルの写真 – これはプリンスの記念雑誌号にも用いられている – の使用から十分に「変容的(transformative)」なものではなく、したがってGoldsmithが一番目の要素で優勢であると判断を下した。

この判決は、いくつかの方法で支配的な一番目の要素の分析にニュアンスの層を追加するかもしれない:

  • 分析は、独立した審美的な変容ではなく、「侵害」であると主張されている特定の用途のみを考慮しなければならない。同じ二次作品が、ある文脈では侵害されているかもしれないが、別の文脈ではフェア・ユースを構成しているかもしれない。(Gorsuch判事の賛成意見はこの例を提供するものであり、Warhol財団の使用が非営利博物館におけるWarholの回顧的な部分として”Orange Prince”を使用した場合、フェア・ユースであった可能性があることを示唆している。)
  • 変容的(transformative)使用は程度の問題であり、著作権所有者が派生的著作物を作成する権利の余地を残さなければならない。問題は、二次利用がオリジナルとは異なる目的及び特性を有するかどうか、及びどの程度有するかである。差が大きいほど、第一の要素が、フェア・ユースに有利に働く可能性が高くなる。
  • 非営利目的ではなく、商業目的で使用されているかどうかは、一番目の要素分析の追加的項目である。商業的使用は必ずしも侵害的ではないが、商業性は争われている作品がさらなる目的または異なる特性を達成する程度と比較されなければならない。
  • 「新しい表現、意味、またはメッセージ」は、それ以上のものがなければ、変容的(transformative)な使用に不十分である。さらに、新しい作品を作るアーティストの主観的な意図は決して重要ではない。むしろ、二次作品の意味は使用の目的がオリジナルと異なるかどうかを決定するために、合理的に知覚され得るように考慮されるべきである。
  • フェア・ユースには正当な理由が必要である。複製は、ユーザーの新しい目的を達成するために合理的に必要なものでなければならない。説得力のある独立した正当な理由は、オリジナルと二次作品が同一または高度に類似した目的を共有している場合や、二次作品が広く普及することがオリジナルまたはオリジナルからライセンスされた派生物を代替してしまうリスクがある場合に、フェア・ユースの評価に特に関係する。「もっと良くすることができる」というのは、十分な正当性ではない。

本事案では、”Orange Prince”はGoldsmithの写真を審美的に大きく変化させ、議論はあるものの、その写真に新しい意味、メッセージ、または表現を植え付けたが、Warhol財団はそれに付け加える「フェア」な理由を提示できなかった。重要なことに、最高裁は”Orange Prince”の創造、展示、販売が侵害されているかどうかを判断しているのではなく、この特定のライセンス供与自体が、その作品の十分な変容的(transformative)使用ではないと判断していることを強調した。

“Orange Prince”がフェア・ユースではなかったことで、最高裁はフェア・ユース論が継続的に拡大され、場合によっては(最高裁の中では)「変容的(transformative)」外観さえあればフェア・ユースであるという時代に歯止めをかけた。

しかし、7対2の本判決はすべての問題を確実に解決するわけではなく、長く詳細に記載された反対意見は、この問題が依然として分裂した問題であることを示している。

Kilpatrick Townsendは連邦地方裁判所と上訴裁判所がこの新しい分析をどのように解釈し適用するかを注視していく。このような未知の領域をナビゲートするため、弊所Copyright Teamのメンバーがお手伝いしたく、みなさまからのご連絡をお待ちしております。

本件は、Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. v. Goldsmith, 598 U.S. ____ (2023)である。

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