Alerts 人工知能(Artificial Intelligence) -連邦議会、連邦政府機関、そしてホワイトハウスが情報提供を求め行動を起こす – Artificial Intelligence – Congress, Federal Agencies, and the White House Solicit Information and Take Action

2023年09月25日

Written by Stephen M. Anstey   (和訳:穐場 仁)

米連邦議会(Congress)、数多くの米連邦政府機関そしてホワイトハウスは、人工知能(Artificial Intelligence、AI)の開発、規制、使用の各側面に対処するため共同で取り組んでいる。

米連邦議会–

2023年9月8日、Richard Blumenthal上院議員(民主党-コネチカット州)とJosh Hawley 上院議員(共和党-ミズーリ州)は、「米国のAIに関する超党派の枠組み(Bipartisan Framework for U.S. AI)を公表した。今年初め2023年6月21日には、Chuck Schumer上院多数派党首 (民主党-ニューヨーク州)がAIに関する別の枠組みであるSAFE Innovation Frameworkを公表した。

さらに、ここ数週間の間で以下の米連邦議会委員会の公聴会が開催された:

  • 2023年9月20日、米上院銀行住宅都市委員会(US Senate Committee on Banking Housing, and Urban Affairs)
    ・全委員公聴会(committee hearing) – 金融サービスにおける人工知能
  • 2023年9月19日、米上院情報特別委員会(US Senate Select Committee)
    ・公開ヒアリング(Open hearing) – AIの国家安全保障に与える影響への取り組み
  • 2023年9月14日、米下院監視および説明責任委員会(US House Committee on Oversight and Accountability)、サイバーセキュリティ・情報技術および政府イノベーション小委員会
    ・公聴会(Hearing) – 米連邦政府機関が人工知能をどのように活用しているか
  • 2023年9月12日、米上院司法委員会プライバシー・テクノロジーおよび法律小委員会(US Senate Committee on the Judiciary, Subcommittee on Privacy, Technology, and the Law)
    ・公聴会(Hearing) – AIの監督: 人工知能の法制化

今後数週間から数ヶ月にわたって、AIに関する法整備や追加の委員会公聴会が続く予定である。例えば、John Thune上院議員(共和党-サウスダコタ州)とAmy Klobuchar上院議員(民主党-ミネソタ州)は、数日中に新たなAI法案を公表する予定である。

米連邦政府機関–

米連邦議会と同様に、米連邦政府機関もAI規制の策定や規則制定に関する情報や意見を求めている。これらの取り組みは、AIの直接的および間接的影響の両方に焦点を当てている。最近募集された意見は以下の通りである:

  • 2023年8月30日、米著作権局は、人工知能と著作権と題する照会通知と意見募集を公表した。同局は、「この分野における立法措置または規制措置が正当化されるかどうかを評価する」ための意見を求めており、「AIモデルをトレーニングするための著作物の使用に関する問題、著作物の使用に関する透明性と開示の適切なレベルおよびAIによって生成されたアウトプットの法的地位を含む」関連問題についてのコメントを求めている。
    ・意見書の提出期限は2023年10月18日。意見書への応答の提出期限は2023年11月15日。
  • 2023年9月7日、米国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology, NIST)は、「重要新興技術のための米政府国家標準化戦略の実施に関する情報要求(Request for Information on Implementation of the United States Government National Standards Strategy for Critical and Emerging Technology (USG NSSCET))を公表した。この情報要求では、人工知能と機械学習、通信とネットワーキング技術、コンピューティング、メモリ、ストレージ技術を含む半導体とマイクロエレクトロニクス、バイオテクノロジー、測位、ナビゲーション、タイミングサービス、デジタルIDインフラと分散型台帳技術、クリーンエネルギー生成と貯蔵、量子情報技術など、様々な重要新興技術(CETs)に関する意見を求めている。
    意見書の提出期限は2023年11月6日。
  • 2023年7月26日、証券取引委員会 (SEC) は、「ブローカー・ディーラーや投資顧問会社に対し、投資家との対話に予想データ分析や類似の技術の使用することに関連する利益相反に対処するため、投資家の利益よりも会社の利益を優先させないよう一定の措置を講じることを求める新たな規制を提案した」。ブローカー・ディーラーおよび投資顧問会社による予測データ分析の使用に伴う利益相反と題された規則案(Proposed Rule)は、次のように指摘している。
    近年、企業がテクノロジーとテクノロジーを駆使した商品やサービスへの依存が急速に拡大している。テクノロジーの活用は、今や、企業が投資家に商品やサービスを提供する際の心的な要素となっている。金融市場の一部の企業や投資家は、現在、AI、機械学習、NLP、チャットボット技術などの新技術を使用して投資判断や企業と投資家の間のコミュニケーションに利用している。加えて、データ分析やデータ収集の既存のテクノロジーは、引き続き改善され、新たな用途を見出している。規則案(Proposed Rule)は、特に、AIが投資システムに与える影響に関するコメントを求めており、関連する部分について次のように述べている。企業のAI使用が増えるにつれて、AIの利用に伴う利益相反のリスクは拡大するだろう。AIが企業の利益に有利な決定を下し、その情報を投資家に迅速に、存在的には大規模に展開した場合、これらのリスクは広範で影響を及ぼす。AIの使用を始めたばかりの企業は、既に投資家をこれらのリスクだけでなく、他のリスクにもさらしている可能性がある。我々は、企業が適用されるAIの基礎となるデータまたはソフトウェア、および適用される[予測的データ分析(“PDA”)]類似技術において、意図的または無意識に自らの利益を考慮し、その結果、投資家に損害を与える可能性があることを懸念している。特に、企業は、企業の収益を最適化するか、あるいは、会社に利益をもたらすが投資家には不利益となる方法で投資家の行動を変えるために、行動プロンプト(behavioral prompts)や社会工学(social engineering)を生成するために、これらの技術を使用する可能性がある。
    意見書の提出期限は2023年10月10日。

上記に加えて、米特許商標庁(the United States Patent and Trademark Office, USPTO)は、2023年9月27日に人工知能 (AI)と新興技術 (ET) (Artificial Intelligence (AI) and Emerging Technologies (ET))に関するパートナーシップ会議を開催する予定である。さらに、米連邦取引委員会 (FTC) は、2023年10月4日にAIとコンテンツ作成に関する公開ラウンドテーブル(Roundtable on AI and Content Creation)を開催する。注目すべきは、2023年7月13日に、FTCが主要な生成AI企業に関する民事調査を開始したと報じられたことである。

ホワイトハウス –

今年の初め、2023年7月21日、ホワイトハウスは、「AIがもたらすリスクを管理するために、主要な人工知能企業からの自主的なコミットメントを確保した」と発表した。具体的には、「主要なAI企業」の7社が、「安全、安心、透明性のあるAI技術の開発への移行を支援する」ことに合意した。

大まかに言えば、企業は以下の8つの自主的なコミットメントに同意した。

1. バイオ、サイバー、その他の安全分野など、誤用、社会的リスク、国家安全保障上の懸念事項を含む分野において、モデルやシステムの社内外でのレッドチーム活動(独立チームによる模擬攻撃演習)にコミットすること

2. 信頼と安全性リスク、危険な、あるいは新興能力、安全策を回避する試みに関して、企業や政府間で情報共有に努める

3. 専有モデルや未発表モデルのウェイトを保護するため、サイバーセキュリティとインサイダーの脅威の安全策に投資する

4. 第三者による問題や脆弱性の発見と報告の奨励

5. AIが生成した音声または映像コンテンツについて、堅牢な証明、電子透かし、またはその両方を含め、ユーザーが、音声または映像コンテンツはAIが生成したものであるかどうかを理解できるメカニズムを開発し展開する

6. モデルやシステムの能力、制限および適切な使用と不適切な使用の領域を公に報告する。これには、公正性や偏見への影響など社会的リスクに関する議論が含まれる

7. 有害な偏見や差別の回避、プライバシーの保護など、AIシステムがもたらす社会的リスクに関する研究を優先する

8. フロンティアAIシステム(現存するAIモデルの能力を凌駕し様々なタスクをこなせるAIシステム)を開発および導入し、社会が直面する最大の課題に取り組む

ホワイトハウスは、「[…] 自主的なコミットメントは、既存の法律や規制と整合性があり、生成的人工知能の法的および政策的体制を推進するように設計されている」と指摘している。さらに、コミットメントが特定のモデルに言及している場合、「それらは現在の業界の最先端領域よりも全体的に強力な生成モデルにのみ適用される (例えば、現在リリースされているモデル、GPT-4、Claude 2、PaLM 2、Titan、画像生成の場合はDALL-E 2を含む、現在リリースされているどのモデルよりも全体的に強力なモデル)」。

一部では、ホワイトハウスが、近いうちにAI規制と開発に関する包括的な大統領令を発表するとの予想もある。さらに、米行政管理予算局(Office of Management and Budget)は、「AIシステムの開発、調達、利用が米国民の権利と安全を守ることを中心としたものであることを保証するための米連邦政府機関向け政策指針案」を近く発表する見込みだ。

次のステップ –

AIに関連する法律や規制が、発展進化し続ける中で、AIを利用する者、あるいはAIに影響を受ける者は、必要なコンプライアンスの枠組み、適用可能な既存の規制、新たなAIに特化した規制の制定、関連法案の草案や成立に向けた努力、連邦政府による意見募集や規則制定、執行上の懸念、そして使用事例の拡大について認識しておくべきである。

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