Alerts 著作権侵害と時効の時計:最高裁は損害賠償につき、早まって時計の針を進めたのか? – Copyright Infringement & the Statute of Limitations Clock: Did the Supreme Court Prematurely Spring Forward on Damages?

2024年05月10日

Written by Joseph Petersen and James A. Trigg   (和訳:穐場 仁)

Warner Chappell Music Inc. v. Nealyにおける米連邦最高裁判所(U.S. Supreme Court)の5月9日の判決は、損害賠償請求の時間的制限を撤廃することにより、さらに過去にさかのぼる著作権侵害請求への道を開いた。最高裁は、著作権者に侵害がいつ発生したかにかかわらず、適時に侵害請求に対して金銭的救済を受ける権利があると判断した。しかし、最高裁は、より根本的な問題、つまり時効の時計がいつから進み始めるか、という問題には言及しなかった。

著作権法の3年の時効は、侵害請求が発生する時期と許容される金銭的救済の範囲について、さまざまな理論を生じさせた。発生の「インジュリー・ルール(injury rule)」の下では、著作権侵害請求は、侵害が発生してから3年以内に提起された場合に成立する。逆に、「ディスカバリー・ルール(discovery rule)」では、たとえその行為が訴訟提起の何年も前に発生したものであっても、原告が侵害行為を発見した、あるいは発見するはずであった場合にのみ時効が発動される。手続き上の理由から、最高裁は本ケースでディスカバリー・ルール(discovery rule)を採用した。

最高裁は、請求の適時性を判断する統一的なルールを断念し、代わりに許容される救済の時間的範囲を見直した。ディスカバリー・ルール(discovery rule)を採用している一部の裁判所は、著作権法の時効を解釈し、その訴訟より3年以上前の損害行為に対する損害賠償を打ち切った。本ケースでは、最高裁がこの3年間の金銭的救済の打ち切りを却下した。ディスカバリー・ルール(discovery rule)の下では、原告は、侵害の疑いが発見されたのが過去3年以内である限り、過去いつ発生した損害行為に対する損害賠償の回復を求めることができる。

Gorsuch判事の反対意見は、多数派の判決のなかの未解決の問題を強調している。同判事は、「(著作権法が)ディスカバリー・ルール(discovery rule)を容認しているかどうかという論理的に先行すべき問題を避けている」と多数派を批判し、それを容認しないことを示唆した。判事は上訴が不当に許可されたものとして却下し、そして回復の範囲に関する判決を下す前に、発生の問題を正面から提示するケースを検討するよう最高裁に求めた。

この最高裁の判決は、著作権の時効がどのように運用されるかについての最終決定ではないだろう。実際、裁量上訴(certiorari)の嘆願書は、Hearst Newspapers LLC v. Martinelli, Case No. 23-474において最高裁で保留になっており、これはGorsuch判事が最高裁に検討することを望んだまさにその質問、著作権法がディスカバリー・ルール(discovery rule)を全面的に認めているかどうか、という疑問が提示されている。Hearstケースは、著作権の時効の解釈において、最高裁に切望していたガイダンスと統一性を提示する機会を与えるだろう。

キルパトリックは、著作権侵害訴訟における請求の発生と損害賠償の回復に関連する今後の動向に注視していきます。本判決が、具体的な状況にどのように適用されるかについては、弊所著作権チームのメンバーまでお問合せください。

本ケースは、Warner Chappell Music Inc. v. Nealy, 601 U. S. ____ (2024)である。

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