Alerts Crocs v. Dawgs:CAFCは、製品が「特許取得済み」であると虚偽に述べることが虚偽広告(false advertising)につながる可能性があると判示 – Crocs Versus Dawgs: The Federal Circuit Holds That Falsely Stating a Product is “Patented” Can Lead to A False Advertising Claim

2024年10月17日

Written by Marissa C. Truskowski, Bryan J. Wolin and Christopher Thomas   (和訳:穐場 仁)

2024年10月3日、米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、当事者が製品の特徴に関する特許を保有していると虚偽に主張し、製品の性質、特性、または品質について消費者に誤解を招くような方法でその特徴を広告する場合、虚偽広告の疑いが生じると判示した。1 (Crocs, Inc. v. Effervescent, Inc. et al., Case No. 2022-2160) CAFCの判断は、ランハム法(Lanham Act)に基づく虚偽の特許表示が、特許法に基づく虚偽表示の要件と損害賠償の規定とは異なるという新たな道筋を提供した。

一般に、特許で保護された製品を製造、販売、販売の申し出、または輸入する特許権者は、特許の”notice(通知)”が侵害当事者に提供された時点にさかのぼって侵害当事者から損害賠償を請求することができる。Constructive notice(擬制通知)として、特許で保護された製品に特許表示することによって侵害当事者に通知を行うことができる。実際の製品の場合、製品に特許番号が表示される。特許で保護されている製品を適切に表示しなかった場合、特許権者は、侵害者に実際に通知をした日付(例えば、侵害行為の中止や差し止めを求める警告書)に基づいて、請求できる損害賠償につき制限をうける。特許表示については、特許法は、「競争上の損害(competitive injury)」を受けた当事者に限り、虚偽の特許表示に対する救済を認めている。2 Crocs の判決は、虚偽の特許表示についてランハム法(Lanham Act)に基づく新たな訴因を提供することとなった。

2006年、Crocsブランドで成形サンダルやフットウェアのメーカーであるCrocs, Inc.(Crocs)は、自社特許の侵害で靴業界の競合他社数社を提訴した。2016年U.S.A. Dawgs, Inc. (Dawgs)は、ランハム法(Lanham Act) Section 43(a)に違反する虚偽広告を主張し反訴した。Dawgsは、Crocsが同社の素材「Croslite」をウェブサイト上で「特許取得済」、「独自開発」、「独占的」と虚偽に広告したと主張した。Dawgsは、この虚偽の主張が消費者に「Crocsの成形フットウェアは、他のどのフットウェアとも異なる素材で作られている」と誤解させたと主張した。Crocsは、Crosliteの特許取得状態に関するこれらの記載は確かに虚偽であったことを認めた。

U.S. District Court for the District of Colorado(コロラド州連邦地方裁判所)は、Dawgの虚偽広告の反訴は、最高裁判決 Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp., 539 U.S. 23 (2003)およびCAFCのBaden Sports, Inc. v. Molten USA, Inc., 556 F.3d 1300 (Fed. Cir. 2009)により禁じられるとし、Dawg の反訴に対してCrocsに有利な略式判決を下した。Dawgsは上訴し、Crocsの虚偽の特許主張は、「製品の性質、特性、および品質」に関連しており、したがってDastar やBaden.によって禁止されるものではないと主張した。CAFCはこれに同意した。

Dastarにおいて最高裁は、ランハム法(Lanham Act)における「商品の出所(origin of goods)」に関する虚偽の訴えは、著作権法の枠組みとの矛盾を避けるため、「商品に具現化されたアイデア、コンセプト、またはコミュニケーションの著作者」に関するものではなく、むしろ「販売目的で提供された有形商品」の生産者に関するものでなければならないと判示した(539 U.S. at 37)。第二次世界大戦時のテレビシリーズの著作権が満了し、作品がパブリックドメインとなった時、被告Dastarはそのテレビシリーズを最小限の編集を加えて自社製品として再リリースした。オリジナルシリーズの著作権者であるTwentieth Century Foxは、ランハム法のSection 43(a)(1)(A)に基づき、虚偽の出所表示で提訴した。最高裁は判決の中で、単なる原作者に関する虚偽表示の主張はランハム法(Lanham Act)の虚偽広告規定に基づく訴因を生じさせないとし、そのような主張は著作権法の領域により適していると述べた。

Baden においてCAFCはDastar を適用し、「原作者は、ライセンスの状況と同様、ランハム法のSection 43(a)(1)(B)で規定するような、性質(nature)、特性(characteristic)、または品質(quality)ではない」と判示した(556 F.3d at 1307)。バスケットボールの製造業者であるBadenは、同業他社のMoltenを、Moltenのバスケットボールの「dual-cushion technology」が「革新的」であるという声明が、Moltenがその技術を開発したと消費者に誤認させたと主張して、ランハム法に基づく虚偽広告で訴えていた。CAFCは、Badenを支持した陪審員の判決を覆すにあたり、Badenの主張は「Moltenが技術革新の源ではない」との事実に根差していたと説明した(Id.)。その結果、BadenはDastarに基づき虚偽広告の主張が認められなかった。

しかし、CAFCは、CrocsのCroslite素材が特許を取得しているという虚偽の主張は、単に出所の虚偽に関するものではなく、むしろ、Dawgsはこれらの表示の虚偽性がCrocsの製品の性質、特性、および品質に根ざしていることを示したと説明した。Crocsの広告は、Crosliteが特許を取得しているという声明だけでなく、CrosliteがCrocsの全ての靴製品に見られるいくつかの利点を持っているとも主張していた。以上から、CAFCは、本件を取り消し地裁へ差し戻した。

Crocsの判決は、企業が製品の性質、特性、または品質(例えば、性能)をその特許に関連付けるマーケティングや広告資料を慎重にレビューすることの重要性を強調している。特許で保護されているものが製品の性能や特性に関連しているような宣伝をする企業をよく見かける。しかし、特許のクレームが宣伝された利点と関連がなかったり、またはその利点に結びつかなかったりする場合、企業は虚偽広告の訴えを避けるために特許の提示方法を再考する必要がある。そのためには、製品をカバーする特許をレビューし、その特許が捉えている具体的な特徴や利点を特定し、マーケティングや広告資料における記述をどのように性格づけるかを決定することが必要になるかもしれない。

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1 Crocs, Inc. v. Effervescent, Inc. et al., Case No. 2022-2160 (Fed. Cir. Oct. 3, 2024).
2 35 U.S.C. §292



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