Alerts 日本は海外直接投資の増加に向け準備を整えている – Japan is Primed for Increased Foreign Direct Investment
Written by Kurtis G. Anderson, Thomas G. Allen and Yota Iemura (和訳:穐場 仁)
どう考えても、日本は外国人投資家にとって大きな魅力がある。日本は、強力な市場、確立された産業基盤、著名なハイテク部門、品質に対する評判、そして安定し安全な経済を持つ先進国である。今年、歴史的な最安値を更新した大幅な円安は、外国企業にこの絶好の経済状況を利用する、またとない機会を与えている。
しかし実際のところ、日本の海外直接投資(foreign direct investment, FDI)率は他の先進国の中で最も低い国のひとつで、GDPのわずか8%に過ぎない。なぜか?企業はしばしば、日本独自の規制スキームやビジネス慣行を引き合いに出す。しかし、日本政府は2030年までにFDIを50%(80兆円)に増やすことを約束している。本稿では、こうした新しい取り組みと、この絶好の経済状況を活用したい企業にとっての留意点について概説する。
I. FDIに対する現在の障壁
日本政府は、外国人投資家の参入障壁を非常に強く認識している。今春、内閣府は、外国大使館、関連省庁、地方自治体、金融機関など数十の機関からヒアリングを行い、外国企業が日本に投資をしようとする際に直面する問題を明らかにした。次の6つの懸念事項がハイライトされた:
- ローカル・パートナー:外国企業、特にスタートアップ企業は、日本でのビジネス・パートナーを求めており、マッチング・サポートが必要である。
- 言語:英語を話す半導体、IT、その他の技術者が不足している。
- 口座開設の遅れ:個人および法人口座開設のプロセスに時間がかかり、一部の申請が拒否されることもある。
- 法人設立手続き:現在のプロセスは煩雑であり、複数の省庁にまたがり、複数の日本語の書類が必要。手続の合理化、電子化、英語対応可能を求める声がある。
- 個別手続き:フロントオフィスでの手続きはデジタル化も英語にも対応しておらず、オンライン翻訳サービスは非効率である。多言語サポートには翻訳ソフトのようなデジタルツールが望まれているが、データプライバシーの懸念が課題となっている。
- 国際的な認知の欠如:日本は市場規模が大きく、インフラも十分整備されているにもかかわらず、投資先として広く認識されておらず、馴染みがないと見なされている。日本の良好なビジネス環境を国際的にアピールすることが重要である。
しかし、これだけではない。日本でビジネスを始める際には、企業形態、税制、労働法などの関連法規を理解することが不可欠であることは言うまでもない。例えば、日本の労働法は、自由意志に基づく雇用に慣れている米企業にとっては、独特の難しさがあるかもしれない。日本の雇用法では、従業員の合意退職は認められる一方、雇用主による一方的な解雇は制限されており、「客観的に合理的な理由」と社会規範への遵守が求められる。従業員の能力不足に基づく解雇が認められることは稀である。職務遂行能力が低い場合でも、指導と訓練を受けても改善の見込みがない、または雇用の継続が不可能と判断された場合のみ解雇が認められる。また、整理解雇(redundancy dismissals)と呼ばれる、業務上または経済上の必要から、人員削減を目的とした解雇であっても、厳格な条件が課せられる。これからの解雇は、以下の4つの基準を満たす場合にのみ有効とみなされる:(A)人員削減の必要性、(B) 解雇回避の努力、(C)選択過程の合理性、(D)手続きの適切性、である。
II. FDIに対する障壁を克服するための新政策
これらの問題に対処し、日本が研究とイノベーションにおける主要経済プレーヤーとしての地位を確立するため、日本政府は自国を未来に導くことを目的とした一連の政策を採用している。Web3.0のための「国家戦略」を発表し、独自の中央銀行デジタル通貨のパイロット運用を開始し、日本への直接投資を促進することを目的とした100の施策から成る「海外からの人的・金融的資源の誘致のためのアクション・プラン」も策定した。
これらの措置は4つの柱で構成され、直接的に日本における海外直接投資の障壁を克服しようとするものである。
1. 日本への投資機会の拡大
- 包括的経済戦略における主要施策の有効性と認知度を確保する。
- セカンダリー投資の拡大に関する課題を特定する。
- 海外の主要大使館を通じて、外国企業と投資家に日本の投資環境をアピールする
2. ハイレベル人材の確保
- 半導体などの重要分野での人材確保に向け、諸外国との比較研究や取り組みを実施する。
- ニーズを調査し、在留資格に関する具体策を検討する。
- ワールドクラスの研究者を誘致し、東南アジア、インド、その他の地域から優秀な留学生の受け入れや就職支援を強化する。
3. 国内外企業でのコラボレーションを促進
- 国内外企業のマッチングを支援し、コラボレーションのケース・スタディを開発し、対応策を追求する。
- ベンチャーキャピタルファンドのパフォーマンス評価を国際基準に合わせ、投資家にとって重要な主要経営指標の開示を促進する。
4. 外国企業のニーズに対応したビジネスおよび生活環境の整備
- 会社設立手続きを合理化、英語での提供、ワンストップサービスの実現。
- 銀行口座開設手続きの迅速化及び円滑化。
III.うまくいくだろうか?
日本が規制改革に注力することで、より多くの海外直接投資を誘致できるかどうかは直ぐにはわからない。その一方で、歴史的な円安と日本経済の新強化は、外国投資家にまたとないチャンスをもたらしている。キルパトリック・タウンゼントは、この機会を活用して、エネルギーやハイテク分野など、日本への投資を検討している企業が残された障壁を克服できるよう支援いたします。
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