Alerts The New York TimesがOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴し話題に – The New York Times Makes News by Suing OpenAI and Microsoft for Copyright Infringement

2024年01月10日

Written by James A. Trigg and Marissa C. Truskowski   (和訳:穐場 仁)

2023年12月27日、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times、タイムズ)は、生成人工知能(AI)製品を作るなかで、タイムズの著作物を使用したとの主張に基づいて、ニューヨーク州南部連邦裁判所(Southern District of New York)にてOpenAIとMicrosoftを提訴した。 (The New York Times Co. v. Microsoft Corp. et al., Case No. 1:23-cv-11195). 訴状では、タイムズの著作権で保護された何百万ものニュース記事、調査、オピニオン記事、その他コンテンツの著作権侵害を含む、7件の知的財産権関連の訴因が主張されている。訴状の中心となる製品は、MicrosoftのCopilot(旧名称Bing Chat)と、OpenAIのChatGPTの2つのチャットボット・ツールで、MicrosoftとOpenAIの生成AIテクノロジーの開発における提携により、少なくともその一部が両社により提供されていると言われている。

タイムズは、本訴状の中で、MicrosoftとOpenAIは、CopilotとChatGPTに投入された大規模言語モデル(LLM)にタイムズのコンテンツをコピーすることで、「組織的かつ競争的な侵害」を行ったと主張している。簡単に言うと、LLMは、実行するためにテキスト(多くの場合はインターネットからかき集めた)大規模データセットに基づきトレーニングをする必要のあるプログラムである。LLMは、パターンを認識し適切な単語の関連付けを予測し始めるまで、トレーニング用のテキストが供給される。このプロセスは、LLMを利用するchatbotがユーザのプロンプトに理解しやすい応答を提供できるようになることで完結する。本訴状では、LLMのトレーニングにおけるタイムズの著作物を含むテキスト・テータセットの構築、保管および複製が、これら資料におけるタイムズの独占的権利を侵害していると主張している。

さらに、本訴状は、ChatGPTや同様の生成ツールがタイムズのコンテンツの一部を出力すると主張している。訴訟によると、ツールは、タイムズの著作物と実質的に類似した出力を生成する(場合によっては、逐語的複製を含む)。タイムズは、これら生成AIツールがタイムズのコンテンツの侵害的な代替製品を提供する限りにおいて、タイムズと直接競合すると主張している。訴状によると、タイムズは2023年4月にMicrosoftとOpenAIに連絡を取り、懸念を表明しライセンス交渉を開始したが合意には至っていない。

今回の提訴では、MicrosoftとOpenAIが行う可能性のある抗弁としてフェア・ユース(fair use)が想定されている。17 U.S.C. § 107に成文化された著作権のフェア・ユース(fair use)原則に基づき、著作権で保護されたコンテンツのライセンスされていない使用の一部は、「批評、コメント、報道、教示、. .学問、研究(このリストは例示であり、網羅的なものではない)などの目的のために」使用される場合、侵害とはみなされない。著作権のある素材がフェア・ユース(fair use)に合致する方法で使用されているかどうかは、4つの法定要素の重み付けにより判断される。使用の目的と性格を検討する第1の法定要素の下では、最近の著作権判例法は二次使用が本質的に変形的(transformative)であるかどうかに重点を移している。多くの連邦裁判所は、これまで著作権のある素材を利用した技術革新はフェア・ユース(fair use)の保護に値するほど十分に変形的(transformative)であるとみなしてきた。

タイムズの訴状によれば、MicrosoftとOpenAIは、生成AIモデルをトレーニングするためのコンテンツの使用は変換的(transformative)であると公に説明している。タイムズの主張では、2社のこのような説明を受け入れず、表現力のある著作物を忠実に模倣することで、むしろ読者を盗む行為を行っているとしている。

タイムズは、直接的な著作権侵害の申立に加え、これら製品の開発におけるMicrosoftとOpenAIの協力関係から生じた副次的および寄与的な著作権侵害を主張し、さらに著作物からタイムズの著作権管理情報が削除されたという訴因も主張している。タイムズはまた、不正競争や商標の希釈化を主張しており、製品が「幻覚(hallucinate)」、すなわち著作物を誤って引用したり、属性の著者や出版物を間違って引用したりすることが知られている、と主張している。

本訴訟は、著作権所有者がChatGPTの提供に起因するOpenAIに対して提起した一連の訴訟の最新版である。タイムズは、2023年にテック企業に対して著作権請求を起こした当事者として、コメディアンのSarah Silverman、ライターのPaul Tremblay、ライターのMichael Chabon、ライターのJulian Sancton、著作者組合(the Authors Guild)に加わった。OpenAI に対するこの訴訟の波は、クリエイターとAIテクノロジー企業の間での法的緊張の高まりを意味する。著作権の実務家は、今後数カ月これらの訴訟を注視し、裁判所が原告側の主張とOpenAIや他のAI企業の抗弁の中核をなすことは間違いないフェア・ユース(fair use)の主張とを、どのように比較検討するのかを見守ることになるだろう。

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