Alerts テクノロジー・フォロワー企業にとっての他社特許調査(Freedom to Operate)

2020年07月28日

2020年6月12日

Written by Paul C. Haughey and Fei Shen (和訳:穐場 仁)

市場に出回っている製品と同様の製品を作ろうとしているテクノロジー・フォロワー企業は、多くの場合、十分な他社特許調査(Freedom to Operate review)のための予算を持っていないかもしれない。しかし、潜在的な知財訴訟リスクは、テクノロジー・フォロワー企業にとって重大であり、無視すべきではない。予算が限られている場合であっても、対象を絞った調査・検討を行うことで特許訴訟の危険性の大部分が明らかになることが多い。もしこれらのリスクをタイミング良く特定できれば、設計変更、無効性または非抵触性の検討など、さまざまな方法で対処することができる。したがって、他社特許調査(Freedom to Operate review)はテクノロジー・フォロワー企業が特許訴訟リスクを特定し管理する費用対効果の高い方法となり得る。

第1のステップは、市場における競合他社に焦点を当てることである。競合他社の特許は、まず訴訟対象となっている特許を特定することで選別できる。これらのいくつかの特許は、特許庁において挑戦され既に無効とされているかもしれない。

より狭いクレームを有する関連特許は、しばしば設計変更によって回避され得る。現在の製品には存在しない特徴が記載されたクレームが存在するかもしれず、その場合もちろん問題とはならない。あるいは、クレームの一部は製品の価値を著しく減少させることなく後続製品から取り除くことができる軽微な特徴または変わった特徴を対象としているかもしれない。さらに、代わりの解決方法を使用して置き換える場合も、あまり費用/有効性の損失を被らずに対応できる場合がある。このように、調査結果に応じて、製品設計部門に即座にガイダンスを与えることができる。

より広範なクレームを有する特許は、より無効になる可能性が高い。競合他社の特許調査は、関連する製品分野における広い特許を特定するためのキーワード検索で補完することができる。このような検索により、しばしば、思いかけず競合他社の特許が現れることがある。次に、先行技術を検討して、争った場合に特許が無効になる可能性を評価する。特許無効を示すために鑑定を準備するか、または競合他社の特許が無効である可能性が高いことを示す公知例の検討結果に基づいて計算されたリスクをとるか、を選択できる。

ときには、テクノロジー・フォロワー企業が追求する技術分野において非常に基本的であると思われる特許を発見することがある。このような状況では、これら「ブロッキング特許」を特定し、製品開発サイクルで早期にリスクに対処することが有益である。リスクに備えた戦略を策定することが重要である。例えば、訴訟等の場合に、クロスライセンスする特許を得る目的で、競合他社製品または競合他社の他の製品をカバーする特許を検索し、購入するため、特許ブローカーを使用することができるだろう。我々Kilpatrick Townsendではこのような対策を行う顧客をサポートしてきた。 あるいは製品の改良を行い、特許を取得することでも、このようなクロスライセンスの機会が提供できる。 競合他社は、通常、より多くの売上を有しているため、不均衡なレバレッジとなり、競合他社はより大きな売上でより大きな損害を被るリスクを有する。

他社特許調査(Freedom to Operate review)は、製品関発を当てずっぽうで行ってるわけではなく、特許リスクの状況を踏まえて行っていることを保証するものである。 製品設計が決定される前に他社特許調査(Freedom to Operate review)を行わなければならない。