Blog PTABアップデート!USPTOがPTABの新規則およびPTAB決定の内部サーキュレーション・レビューに関する標準作業手順(SOP4)を提案 – PTAB Update! USPTO Proposes New Rules and SOP4 on Internal Circulation and Review of PTAB Decisions

2023年10月09日

by Justin L. Krieger  (和訳:穐場 仁)

米特許商標庁(USPTO)は10月6日、特許審判部(PTAB)における決定前の内部サーキュレーション(internal circulation、内部回覧手続)および内部レビューを規定する新規則の提案を告示(Notice of Proposed Rulemaking, NPR)した。88 Fed. Reg. 69578-69583 (Oct. 6, 2023). また、USPTOは、裁量による発行前あるいは発行後の決定のレビューに関する具体的な手続を定めた新しい標準作業手順(standard operating procedure, SOP 4)も公表した。NPRとSOP 4は、PTABとPTAB内で当該決定をレビューすることが許可された者との間の許容されるコミュニケーションの範囲について明確性と透明性を高めるというUSPTO長官の目標に沿ったものである。また、PTAB合議体の編成や再編成および「自発的な(sua sponte)」長官レビュー(Director Review)の対象となる決定の選別など、関連問題についてのガイダンスも提供する。以下は、NPRSOP 4の概要である。NPRに対する意見は、2023年12月5日までにwww.regulations.govに提出できる。

規則制定案告示(Notice of Proposed Rulemaking, NPR)

  • NPRは、PTABにおける発行前の決定の内部サーキュレーションおよびレビューを規定する手続基準を成文化するものである。
  • 新37 CFR Part 43 「PTABにおける決定サーキュレーションとレビュー」の追加を提案している。
  • 長官の関与禁止 長官、副長官(Deputy Director)、特許コミッショナー(Commissioner for Patents)、商標コミッショナー(Commissioner for Trademarks)が、発行前の決定に関して、直接的または間接的を問わず、PTAB合議体のメンバーとコミュニケーションを取ることを禁止する。
  • 合議体の割り当て チーフAPJ(Administrative patent judge)またはその代理が、長官に代わり、PTAB合議体を指定(割り当て)する。長官は、合議体の決定の発行前には、いかなる手続に関しても、合議体の編成または再編成を指示し影響を与えることは許されない。ただし、発行された合議体の決定のレビューまたは再ヒアリングを行う場合は、長官は記録に記載された命令を通じて一貫性のある合議体の再編成を指示することができる。
  • 任意レビュー いかなる管理裁判官(Management Judge、Chief Judge等のPTAB管理チームに所属する裁判官)または従業員も、合議体とコミュニケーションを開始することはできないが、合議体は任意で一人以上の管理裁判官または非管理裁判官からの意見を求めることができると規定されている。合議体が一人以上の非管理裁判官によるレビューを要求した場合、かかる裁判官は、管理裁判官といかなる決定についても話し合うことは許されない。非管理裁判官によるレビューの手続は、SOP 4に定められている。
  • 管理裁判官または非管理裁判官から提供された修正、提案またはフィードバックを採用するか否かは、合議体が単独の裁量権を有することを示している。
  • USPTOの方針とガイダンスは全て文書化され公開されなければならない。

標準作業手順(standard operating procedure, SOP 4)

  • 一般的に (i) 同僚裁判官(peer judges)またはPTABマネジメントによる発行前のPTAB決定の任意の内部サーキュレーションおよびレビュー、(ii) 発行後のPTAB決定のレビューの手順を規定している。
  • サーキュレーション・ジャッジ・プール(Circulation Judge Pool, CJP) 同僚裁判官(peer judges)による決定ドラフトの任意の非管理裁判官レビューのため設けられた。CJPは少なくとも6人の裁判官で構成され、各CJPの任期は通常1年である。CJPレビューは、通常、CJP裁判官2名によるレビューを含む。決定ドラフトの修正案や関連する法的根拠(authority)との潜在的な不一致または矛盾に関する情報は、検討のために合議体に送られる。CJPはまた、PTABのエグゼクティブ・マネジメントと定期的に会議を開き、発行された決定や注目すべき問題を議論する任務を負っている。この情報は、ポリシーやガイダンスの更新および長官レビュー(Director Review)のため長官と共有されることがある。
  • PTABマネジメント発行前任意レビュー・チーム(MPIORチーム) 決定ドラフトの任意のマネジメント・レビューのために設立される。MPIORチームは、ヴァイス・チーフ裁判官、シニア・リード裁判官、リード裁判官および上記役職の代理者が含まれる。MPIORレビューのプロセスは、前述したCJPレビューと概ね同様である。
  • PTAB発行後レビュー・チーム(PIRチーム) 発行されたPTAB決定をレビューし、例えば「自発的な(sua sponte)」長官レビュー(Director Review)の候補や方針の明確化のために、検討する決定にフラグを立てるものである。PIRチームは、ヴァイス・チーフ裁判官、シニア・リード裁判官、リード裁判官および上記役職の代理者が含まれる。
  • 長官の関与なし
    長官、副長官(Deputy Director)、特許コミッショナー(Commissioner for Patents)、商標コミッショナー(Commissioner for Trademarks)は、合議体メンバーでない限り、直接または間接を問わず、発行前の決定に対する指示やその他いかなる影響をも与えないことを規定する。
  • 利益相反 CJPメンバー、 MPIORチーム、またはPIRチーム・メンバーが利益相反を有する場合、それぞれのチームの他のメンバーに通知し、その決定の議論や分析から自己を除外する。

実務者ポイント:

特許法曹界により申し立てられていた合議体の不正や結果の操作に対する近似の懸念(穐場注:IPRにおいてもALJが当事者の株式を保有しており問題となったことがあった)に対応するため、USPTOの新たなNPRとSOP4は、PTAB合議体がどのように構成され、合議体が同僚裁判官(CJP)またはPTABマネジメント(MPIOR)による決定ドラフトの内部レビューを任意で求める方法に関して、明確性と透明性を高めるものとなるだろう。長官は現在、決定ドラフトのレビューから完全に隔離されているが、発行された決定をレビューし、「自発的な(sua sponte)」長官レビュー(Director Review)命令を存在的に発行する可能性がある。

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