Publications PTAB アップデート: USPTO、長官レビュー(Director Review)に関する暫定ガイドラインを改訂 – PTAB Update: The USPTO Issues Revised Interim Guidelines for Director Review

2023年07月24日

Written by Justin L. Krieger and Nicoletta M. Kennedy  (和訳:穐場 仁)

米国特許商標庁(USPTO)は、7月24日、特許審判部(PTAB)の決定に対する長官レビュー(Director Review)を要請するプロセスにつき、改訂暫定ガイドラインを発表した。United States v. Arthrex, 141 S.Ct. 1970 (2021)の米最高裁判決で、PTABの特許裁判官(Administrative Patent Judge)が下した決定を審査する裁量権を長官が有してなければならないと判示されて以来、USPTOは長官レビュー請求の手続きについていくつかの改訂を行ってきた。この最新版ガイドラインでは、従来のガイドラインのいくつかの特徴を維持しつつ、少数の重要な修正を加えている。

変更内容:
審理開始に対する長官レビュー (Director Review Of Institution Decision):従来のガイドラインのもとでは、審理が開始(instituted)された後に出された最終決定(Final Written Decisions, FWD)に対しレビューを請求することに限定されていた。
改定後のガイドラインでは、PTABが管轄権を有する他の決定についても長官レビュー請求が可能となる。具体的には、決定の当事者は、PTABの(1)審理を開始するかどうかの決定、(2)最終決定、または(3)再審理(rehearing)を認める決定について、長官レビューを請求することができる。
• 委任された再審理(Rehearing)パネル:長官は、現在、長官レビューを審判決定の見直しを責務として長官から委任された裁判官のパネルである、委任再審理パネル(Delegated Rehearing Panel, DRP) に委任する選択肢を有している。DRPは、チーフ・ジャッジ(審判長)、デピュティ・チーフ・ジャッジ、バイス・チーフ・ジャッジ、およびシニア・リード・ジャッジから選出された3名のメンバーで構成され、審理中の案件の原審パネルを務めた裁判官、または案件とコンフリクトが生じる特許裁判官は除かれることとなっている。当事者はDRPの決定に対する再審理(rehearing)を1回請求することができるが、DRP決定に対する長官レビューを更に請求することは許されていない。
• 諮問委員会(Advisory Committee):長官レビューに対する全ての要望は諮問委員会(Advisory Committee)によって検討され、諮問委員会はその勧告を長官へ提出する。諮問委員会によって提出された勧告にかかわらず、長官は決定をDRPに委ねるべきであると決定することができる。諮問委員会には、少なくとも11名(定足数は7名)のメンバーが含まれ、長官の裁量で勤務する様々なUSPTOの業務部門の代表が含まれる。
• 先例意見パネル(Precedential Opinion Panel)の廃止:改訂暫定ガイドラインでは先例意見パネル(Precedential Opinion Panel、POP)が廃止され、改訂暫定ガイドラインおよび新しい審判審査パネル(Appeals Review Panel, ARP)に置き換えられる。特許庁長官は、PTABの決定、または、当事者系レビュー、再審査、あるいは再発行の不服申立を審査するためにARPを自己の意思で招集することができる。ARPは、特許庁長官により選出され、デフォルトでは、特許庁長官、特許局長(Commissioner for Patents)、および特許審判部長で構成される。ARPによるレビューの請求は受理されず、検討もされない。ARPの決定は、非先行的(non-precedential)なものとなるが、誰でも先例(precedential)あるいは参考例(informative)と指定するよう、PTAB Decision Nomination web form <https://www.uspto.gov/patents/ptab/ptab-decision-nomination>を使用するか、またはPTAB_Decision_Nomination@uspto.govに電子メールを送信することによって提案することができる。

従来から維持されるもの:
改訂暫定ガイドラインでは、PTABの決定に不満を持つ当事者には2つの選択がある:(i) 同一の特許裁判官パネル前に再審査(rehearing)を請求する、または (ii) 決定について長官レビューを請求することができる。(i) (ii) 両方を行うことはできない。
当事者系レビュー、付与後レビュー、そして発明者決定手続(derivation proceedings)において、当事者は (1) Patent Trial and Appeal Case Tracking System (P-TACTS)で長官による再審理(Rehearing)請求を提出すること、そして (2) 長官に Director_PTABDecision_Review@uspto.gov宛で電子メールを送り、当事者全員の弁護士にコピーを送ることにより、同時に長官レビューを提出することができる。両方の申請がなされない限り、長官レビュー請求は完了しない。
特許庁長官は、長官レビューを自己の意思で審査を承認することができる(特許庁長官自身の主導により)。

実務者ポイント:
改訂暫定ガイドラインは、長官レビューのプロセスをより明確にし、審理開始の決定を含むPTAB審判の全段階への適用を拡大するものである。同じ特許裁判官パネルでの再審理(Rehearing)では十分に客観的な審理が行われないと懸念する方は、長官レビュー請求の代替案を強く検討すべきである。

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